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早期大腸がんの治療

概要

年々増加する大腸がんによる死亡者数は、40歳代から増え始め高齢になるほど多くなります。部位別に見ると大腸がんによる死亡数は女性では1位、男性は3位※です。
大腸がんの原因は、一部には遺伝的素因も関与していますが、飲酒や肥満、加工肉を含む肉の摂取といった、環境的因子が大きいと考えられています。

※人口動態統計によるがん死亡データ(2015年)

大腸がん

大腸がんは、長さ約1.5~2m程の大腸(口側から盲腸・結腸・直腸・肛門管)に発生するがんで、S状結腸と直腸に多いといわれています。大腸の壁は便が接触する表から順に、粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜の5層構造でできています。多くは一番内側にある粘膜から腺腫という良性のポリープができ、それが成長して大腸がんになりますが、正常な粘膜から直接がん細胞が発生するものもあります。胃がんと同様、がんが粘膜・粘膜下層までの場合は早期がん、それより深い場合は進行がんとなります。

症状

早期がんの場合、自覚症状はほとんどありません。進行すると、血便、下血、便が細い、残便感、腹痛、貧血、体重減少などの症状がでてきます。症状として多くみられる血便は、痔などでも同様の症状を認めるため、早めに消化器科の受診をお勧めします。

大腸ポリープの治療

ポリープが大きくなるとがん化のリスクがあり、ポリープを切除する事で大腸がんが抑制されることが報告されています。当院では小さいポリープの場合は日帰りで内視鏡的治療を行っています。なお治療後は日常生活に差し支えはありませんが、1週間程度の禁酒や運動制限などが必要となります。
通常光による内視鏡画像。中央にあるのが大腸ポリープです。
通常光による内視鏡画像。中央にあるのが大腸ポリープです。
狭帯域光観察(NBI)といった特殊光を用いた最新の内視鏡画像。約80倍まで拡大できます。
狭帯域光観察(NBI)といった特殊光を用いた最新の内視鏡画像。約80倍まで拡大できます。

大腸がんの治療

大腸がんの治療には内視鏡あるいは手術による切除治療と抗がん剤による治療があります。当科では日本で開発されたESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)による内視鏡切除を早期の食道がん、胃がんと同様に積極的に行っております。内視鏡で病変を観察しながら専用の電気メスでがんの部分のみを切除する治療法です。1週間程度の入院は必要ですが外科手術に比べて入院期間は短く、大腸の表面のみを切除するので、おなかは開けず大腸は全て残ります。ただしESDは早期大腸がんの中でもリンパ節転移の可能性が極めて低い病変が対象となりますので、切除後の検査結果では追加で外科的治療が必要になることもあります。

大腸ESDによる内視鏡切除

治療前
治療前
剥離中
剥離中
治療後
治療後
切除後標本
切除後標本

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