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早期胃がんの治療

胃がんの治療には「外科手術」をはじめ「内視鏡的治療」「化学療法(抗がん剤治療)」等さまざまな方法があります。内視鏡的治療は外科手術に比べおなかに傷がつかず、胃の機能が保てる上に入院日数も短期間となる利点があります。

内視鏡センターでは内視鏡的治療として内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という治療を行っています。
ESDは従来の治療法(内視鏡的粘膜切除術)に比べ広い範囲にわたる病変でも一度にはがしとることができ、がんの進行の程度や取り残しが無いことも正確に判断できるといった利点があります。
この治療は転移の可能性が極めて低く、ほぼ粘膜内にとどまっていると診断された早期胃がんが対象となります。

内視鏡を胃の中に挿入し病変に目印をつけ、粘膜下層に薬剤を注入して浮かせた状態にして、さまざまな種類の電気メスを使って胃の粘膜(病変部)を切りはがしていく治療です。

胃がんの診断

早期がんの場合は症状がほとんどないため、胃カメラによる内視鏡検査で病気によるわずかな変化を見つけ、組織検査(生検)によって診断をつけます。近年内視鏡機器の発展は目覚ましく、当科ではNBI(狭帯域光観察)といった特殊光を用いた新しい画像強調観察技術や約80倍まで拡大できる最新の内視鏡を用いて、早期発見や適切な治療方針を決めています。
【通常光観察】
【通常光観察】
【NBI観察】通常光の観察よりも病気によるわずかな変化もわかりやすくなります
【NBI観察】通常光の観察よりも病気によるわずかな変化もわかりやすくなります

胃がんの治療

胃がんの治療には内視鏡あるいは手術による切除治療と抗がん剤による治療があります。
当科では日本で開発されたESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)による内視鏡切除を積極的に行っております。内視鏡で病変を観察しながら専用の電気メスでがんの部分のみを切除する治療法です。1週間程度の入院は必要ですが外科手術に比べて入院期間は短く、胃の表面のみを切除しますので、お腹は開けず胃は全て残ります。ただしESDは早期胃がんの中でもリンパ節転移の可能性が極めて低い症状が対象となりますので、切除後の検査結果では追加で外科治療が必要になることもあります。

ESDによる内視鏡切除(深達度粘膜内の分化型早期胃がん:治療時間10分)

①【ESD前】
①【ESD前】
②【マーキング】切除する範囲をマーキングします
②【マーキング】切除する範囲をマーキングします
③【切開剥離】マーキングの外側を電気メスで切開し粘膜下層を剥離します
③【切開剥離】マーキングの外側を電気メスで切開し粘膜下層を剥離します
④【ESD後】
④【ESD後】
⑤【切除後標本】
⑤【切除後標本】

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