院長挨拶
日頃は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。新たな年度を迎えるにあたり、総合大雄会病院院長として改めてご挨拶申し上げます。
さて、私が院長を拝命して1年が経ちましたが、振り返ってみますと、やはりコロナに翻弄された1年であったと申し上げざるを得ません。感染の主流がオミクロン株であったことから、重症化される患者さまは少なくなりましたが、感染力が強いためか、これまでとは次元の異なる広がりを見せました。スタッフからも多く感染者が出たため、一部業務を縮小せざるを得ない状況に陥りました。また、どれだけ注意していても入院患者さまから感染者が出ることがあり、クラスター化することも幾度か経験いたしました。

その都度、ゾーニングのため病床の利用を制限し、予定されていた入院の延期をお願いしたこともありました。一番心苦しかったのは、ベッドは空いているのにもかかわらず、感染管理および人員の不足から救急患者さまを断らなければならなかったことです。救命救急センターを拝命している以上、全ての患者さまを受け入れることが使命であると心得ていますが、感染が拡大した時期には、その使命を果たすことが叶いませんでした。そんな中、現場のスタッフは一人でも多くの患者さまを受け入れるため献身的な努力を積み重ねてまいりました。実際、多くの医療機関に断られた患者さまが愛知県の南端から搬送されたこともありました。私は、このようなスタッフと共にあることを誇りに思っております。
先般、日本政府はコロナを季節性インフルエンザと同様の扱いにすることを決めました。コロナとの長い戦いにも、ようやく出口が見え始めたようです。一方、ロシアのウクライナ侵攻や40年ぶりの物価上昇など、新たな懸念材料も生まれております。漕ぎ出した大海原の時化(しけ)は、まだまだおさまりそうにありません。しかし、私たちには「海路の日和」を待っている余裕はありません。ピンチをチャンスと捉え、果敢に大波を超えていかなければならないのです。そこで今進めているのが「シン大雄会創成プロジェクト」です。
「シン大雄会創成プロジェクト」では、地域の医療ニーズに応えるべく、病院機能の再編を行います。具体的には、総合大雄会病院を急性期および高度急性期機能に特化し、大雄会第一病院は亜急性期および回復期を担う病院に生まれ変わります。2025年初頭の完遂をめざしてプロジェクトを進めてまいりますが、その間ご不便をおかけすることがあるかもしれません。地域の皆さまにおかれましては、どうかご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
私たちは2024年に、創立100周年を迎えます。しかし、これは何度も申し上げるようですが「通過点」にすぎません。私たちは、「続く挑戦、未来をつむぐ。」をキーワードに、100年のその先へ新たな挑戦を続けてまいります。どうか、生まれ変わりつつある新たな大雄会にご期待賜りますようお願い申し上げます。
総合大雄会病院院長