診療科・部門

改善が期待できる高血圧、「原発性アルドステロン症」ってご存知ですか?

血圧が下がらなくて困っている方、もしかすると別の病気が隠れているかも知れません。いわゆる二次性高血圧症の中でも代表的な「原発性アルドステロン症」についてお話していきます。

原発性アルドステロン症とは

原発性アルドステロン症ってなんですか?

高血圧は放置したままにすると脳や心臓・腎臓など様々な病気に繋がります。塩分(ナトリウム)の摂りすぎで高血圧になるという話はよく聞くと思いますが、このナトリウムと関連するのがアルドステロンという物質(ホルモン)で、腎臓の頭側にある小さな臓器(副腎)で作られています。
アルドステロンは体にナトリウムを蓄える働きがありますが、病的に作られるとナトリウムが過剰に貯まり高血圧になります。この病気のことを原発性アルドステロン症と言います。
原発性アルドステロン症では、薬を沢山飲んでも血圧が下がりにくくなることがあり、高血圧患者さんの3-12%程度が該当するという報告があります。副腎に腫瘍がある場合や、40歳未満で高血圧の場合、睡眠時無呼吸症候群の場合などに多いのが特徴的です。
この他アルドステロンはナトリウムを蓄える際にカリウムというミネラルを尿として排泄するため、血中カリウムが低い場合もあります。

原発性アルドステロン症は治療で改善が期待できる

原発性アルドステロン症では、通常の高血圧症(本態性高血圧症)と比べて、脳や心臓の病気の頻度が高くなると言われています。一方で、適切な治療を行うことで高血圧の改善、ひいては様々な病気が予防できる可能性があります。高血圧に関わっている病気があって、しかも治療で血圧改善の可能性が持てるのって驚きですよね。

原発性アルドステロン症の検査、治療について

原発性アルドステロン症の診断までの流れ

原発性アルドステロン症を疑ったらまず採血検査を行います。朝の空腹時にベッドで安静になっている状態で採血することが理想なのですが、病院を受診をしたタイミングで普通に採血することも多くあります。検査が陽性の場合に次の検査へ移りますが、現在は安全にできる「カプトプリル試験」で判断するのが一般的です。カプトプリルというお薬に対するアルドステロンの分泌反応を見る検査で、朝の空腹時にベッドで安静になりながら、お薬を飲む前と60分後、90分後に採血をします。検査陽性となれば原発性アルドステロン症の診断になります。

原発性アルドステロン症の治療選択と手術について

原発性アルドステロン症と診断された時点で、アルドステロン拮抗薬というお薬の内服で治療は可能です。しかし、しっかりと治療をする場合には手術が必要となります。左右1つずつある副腎の片方から、アルドステロンが過剰に分泌されていれば手術が可能です。そのため、今度は入院のうえでカテーテルの検査を行っていきます。検査の結果、陰性の場合はアルドステロン拮抗薬内服治療を、陽性の場合は手術治療が選択可能です。この手術では腹腔鏡を使って片方の副腎を摘出しますが、開腹手術と比べ術後の傷痕が小さいことが特徴です。
今回は改善が期待できる高血圧として、原発性アルドステロン症についてお話しました。皆さんが高血圧治療に興味を持っていただければ、また少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。


文献:原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021 日本内分泌学会編

監修

橋本 昌哉(はしもと まさや)

● 主な資格
日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医

● 主な専門領域
糖尿病、代謝、内分泌内科

ページ
上部へ