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前立腺肥大症治療・経尿道的水蒸気治療(WAVE)について

当院では前立腺肥大症治療に対する手術治療として、従来の経尿道的前立腺切除術(TUR-P)に加えWAVE治療を開始しました。

WAVE(Water Vapor Energy Therapy :経尿道的水蒸気治療)とは

水蒸気の熱を利用して前立腺を退縮させる、前立腺肥大症の新しい治療法です。
Rezum(レジューム)システムを使用して、肥大した前立腺に103℃の水蒸気を注入し、前立腺組織を約70℃まで上昇させ、組織を1~3か月かけて壊死・退縮させます。身体に対する負担が少なく、異物を体内に残さずに治療することが可能です。
© 2025 Boston Scientific Corporation.  All rights reserved.
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治療の適応

前立腺肥大症による排尿症状があり、薬物療法で充分な効果が得られない場合、または尿閉や尿路感染などの合併症がある場合に⼿術療法の適用が考慮されます。全身状態や基礎疾患により周術期リスクが高く、⼀般的な手術療法が困難な方に適用されます。(日本泌尿器科学会:経尿道的水蒸気治療に関する適正使用指針)
治療する前立腺のサイズは30〜80mLの大きさが適当とされています。抗血栓栓薬、抗血小板薬の中止は必須ではありませんが、休薬しないで手術を行う場合は出血に注意する必要があります。
※全ての前立腺肥大症には適応されませんので、治療適応については主治医と相談が必要となります。

治療の流れ

治療時間は平均10分以内程度と短く、当院では原則として、腰椎麻酔あるいは全身麻酔による入院治療で行っています。
適切な麻酔をした後、デリバリーデバイスを患者さまの尿道より入れます。デリバリーデバイスの先端からは水蒸気を送り出す針が出るようになっており、内視鏡で確認しながら適切なところで針を前立腺の肥大した組織に直接差し込み、水蒸気を注入します。水蒸気は前立腺組織の間質と呼ばれる、スペースの部分を伝わって充満します。水蒸気は約103℃ですが、前立腺は体温と同じですので、水蒸気が前立腺細胞に触れて温度が下がることで、水蒸気治療を行った部分が約70℃になります。この過程で治療部分の前立腺細胞は破壊され、その後約1~3か月かけて自然に体内に吸収されていきます。
こうして、肥大していた前立腺が小さくなり、前立腺肥大症からくる下部尿路症状が緩和されます。簡単に示すと下図のようなステップになります。
資料提供:ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社
資料提供:ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社

治療後

治療後は、⼀時的な前立腺のむくみが生じるため、術後約1週間程度の尿道カテーテルの留置が必要です。したがって尿道カテーテルは退院後の外来再診時に抜去します。なお、もともと前立腺体積が大きく重度の排尿障害があった患者さまは約1か月程度のカテーテル留置が必要となることもあります。

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