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2023年02月15日

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呼吸器内科顧問・岡澤光芝医師の論文が医学雑誌「Respiratory Investigation」に掲載されました

呼吸器内科顧問・岡澤光芝医師の論文が医学雑誌「Respiratory Investigation」に掲載されました。

【掲載誌】
「Respiratory Investigation」
Volume 61, Issue 2, Pages 220-229
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2212534523000114

【タイトル】
COVID-19 symptom-onset to diagnosis and diagnosis to treatment intervals are significant predictors of disease progression and hospitalization in high-risk patients: A real world analysis
(新型コロナに感染したハイリスク患者においては、発症から診断までの時間と診断から治療までの時間は病勢の進行や入院に有意な影響を及ぼす独立因子である-外来現場での報告-)

【概要】
本論文は名古屋市中区のとしわ会診療センターレクリニック(としわ会外来)と大雄会の共同研究で行われた。2021年12月末より発生したオミクロン株によるCOVID-19の第6波は名古屋市内においても急速な広がりを見せ医療ひっ迫が予想された。これに対処するために名古屋保健所は、ハイリスク患者を外来にて治療し入院を減少させる計画を立てた。

本研究は2022年1月1日から4月30日までの期間、としわ会外来にて治療を行ったハイリスク患者206人全員を対象とし、発症から診断までの時間、診断から治療までの時間を指標として、疾患の進行度(軽症は肺炎なし、中等症は肺炎有)と入院との関連を解析した。

206人は3つのグループに分けた。としわ会外来グループの患者は発症後直接としわ会外来を訪れ、COVID-19と診断と同時に抗ウイルス薬での治療が行われた。保健所グループは発症後他院で診断をうけ自宅待機観察期間をへたのち、としわ会外来を紹介され治療を受けたグループ。検疫グループは発症後他院で診断をうけ検疫ホテルの個室に収容され、医師・看護師による観察ののちとしわ会外来で治療を受けたグループである。

結果は発症から診断までの時間は中等症発症(肺炎)の有意な独立した因子であった。各グループの肺炎発症率は12.2%、40.2%、65.5%であった。発症から診断までの遅れ(diagnostic delay)は3グループで差がなく、診断のために医療機関へアクセスする時間そのものが規定因子と考えられた。診断から治療までの時間も肺炎発症の有意な独立因子であり、3グループの中央値はとしわ会グループ0日、保健所グループ2日、検疫グループ3日であった。

診断から治療までの遅れ(interventional delay)は、肺炎発症の有意な独立因子であり、COVID-19登録以後の観察方式に起因していると考えられた。206人中10人が入院した(としわ会外来グループ0人、保健所グループ4人、検疫グループ6人)、としわ会初診時に将来入院が必要となる可能性を示唆する因子としては、年齢、呼吸困難、診断から治療までの時間が有意な独立した因子であった。これらのデータよりハイリスク患者においては発症よりなるべく短期間に治療を開始することが、疾患の進行や入院を軽減しひいては医療経済にも寄与すると考えられた。

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