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2021年10月19日

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呼吸器内科顧問・岡澤光芝医師の症例報告論文が、医学雑誌「International Journal of Molecular Sciences」に掲載されました

呼吸器内科顧問・岡澤光芝医師の症例報告論文が、医学雑誌「International Journal of Molecular Sciences」に掲載されました。
岡澤医師は、この論文において責任著者として執筆しました。

【掲載誌】
International Journal of Molecular Sciences (IF5.923)

【タイトル】
IL13 May Play an Important Role in Developing Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis and Eosinophilic Otitis Media with Severe Asthma
(インターロイキン13は好酸球性副鼻腔炎、好酸球性中耳炎を伴った重症喘息発症に重要な役割を果たしている可能性がある)

【概要】
症例は重症喘息で好酸球性副鼻腔炎と好酸球性中耳炎を合併し、日常生活が営めない状況にありました。喘息に関しては最大量の吸入ステロイドのみならず、長時間作用型β刺激薬、長時間作用型ムスカリン受容体拮抗約、ロイコトリエン拮抗薬などありとあらゆる薬剤を使用しても頻回に経口ステロイド薬服用が必要で、受診時には発作は軽減していても30mぐらいしか続けて歩けないような状況でした。また鼻腔を埋める鼻茸により口呼吸が制限され嗅覚はなくなり、耳漏が鼓膜を破り聴力低下で高音域の音がほとんど聞こえない状況にありました。

今回この症例に対して生物学的製剤であるベンラリズマブ(anti-IL5 monoclonal antibody)を使用し、一時的にすべての病態が改善したにもかかわらず、約1年後、好酸球性副鼻腔炎と好酸球性中耳炎の悪化でまたQOLが低下したためデュピルマブ(antiIL4/IL13 monoclonal antibody)変更し、今までにない良い状態を得ることができました。しかし6か月後に好酸球性肺炎を発症し、また治療変更を余儀なくされました。次に使ったのが、メポリズマブ(anti-IL5 monoclonal antibodyですがベンラリズマブと作用機序が違う)です。

これにより約1年はすべての症状もなく経過しましたが、ベンラリズマブの状況と似て、その後再び好酸球性副鼻腔炎と好酸球性中耳炎が発症。最終的には最も効果が大きかったデュピルマブ(antiIL4/IL13 monoclonal antibody)を現在使用中で、好酸球性肺炎が発症するときには、メポリズマブとデュピルマブの併用を計画しています。これらの病態と文献的な考察より、この患者においては自然免疫のInnate lymphoid Cell 2から分泌されるIL13がすべての病態に共通していることを解説しました。

【掲載情報】
IJMS : https://www.mdpi.com/1422-0067/22/20/11209/htm
PDF: https://www.mdpi.com/1422-0067/22/20/11209/pdf

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