2026年09月09日
お知らせ放射線科医長・渡邊祐衣医師の論文が「Current Oncology」に掲載されました
放射線科医長・渡邊祐衣医師の論文が「Current Oncology」に掲載されました。
【掲載誌】
Current Oncology
【掲載タイトル】
Explainable Deep Learning Model for Predicting Overall Survival in Patients Receiving Palliative Radiotherapy for Bone Metastases
(判断の根拠を示せるAIを用いた、骨転移への緩和的放射線治療後の予後の予測とその検証)
【概要】
がんが骨に転移すると、痛みなどの症状が出ることがあります。その症状をやわらげるために放射線治療(緩和的放射線治療)を行いますが、このとき、患者さんが今後どのような経過をたどるかの見通しを立てることが、治療の目標や照射の回数を決めるうえで重要になります。近年、人工知能(AI)を用いた予後予測が注目されています。ただ、AIの中でも深層学習と呼ばれる手法は、予測は得意な一方で「なぜそう予測したのか」が外から分かりにくい点が課題とされてきました。
本研究では、2013年から2024年に当院で骨転移に対する緩和的放射線治療を受けた472人の患者さんを対象に、全身状態、がんの種類、転移の広がり、放射線治療の線量などの情報から生存期間を予測する深層学習モデルを開発し、「説明可能AI」の手法を用いて予測根拠も解析しました。その結果、全身状態が予測に最も強く影響していることが確認されました。
従来から使われてきた統計の手法は、一つひとつの要因の影響を足し合わせる形で見通しを立てます。これに対して深層学習は、要因どうしの複雑な絡み合いまで読み取れるため、両者を比べれば、足し合わせるだけでは捉えきれない関係が実際にあるのかを確かめられます。比べた結果、予測の精度も、重視する要因も、ほぼ同じでした。今回の情報の範囲では複雑な絡み合いまで考えなくても見通しを立てられるということであり、深層学習は予測そのものよりも、どこまで簡単な方法で足りるのかを見極める役に立ったことになります。専用のAIシステムを備えていない施設でも、点数表(スコア)のような簡便な形で同じ水準の見通しを示せる可能性があります。患者さん一人ひとりの状況に応じた治療方針や照射回数の検討につながることが期待されます。