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2021年11月09日

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消化器外科診療部長・野中健一医師、大雄会医科学研究所・菊池有純室長の論文が、医学雑誌「Cellular Immunology」に掲載されました

消化器外科診療部長・野中健一医師、大雄会医科学研究所・菊池有純室長の論文が、医学雑誌「Cellular Immunology」に掲載されました。

【掲載誌】
Cellular Immunology (IF4.868)

【タイトル】
Th1 polarization in the tumor microenvironment upregulates the myeloid-derived suppressor-like function of macrophages.
(腫瘍微小環境におけるTh1極性化は、マクロファージの骨髄由来抑制様機能をアップレギュレートする。)

【概要】
我々は、腫瘍微小環境(TME)におけるTh1極性化が、腫瘍関連マクロファージ(TAM)の成熟と活性化に及ぼす影響を調べました。我々が開発した免疫療法マウスモデルによって、Th1が優勢なTMEを作り出した場合、すべてのマウスにおいて腫瘍が退縮し、80%のマウスにおいて腫瘍は完全に消失しました。

また腫瘍のドレナージリンパ節において、単球由来樹状細胞および活性化されたCD4+およびCD8+ T細胞の数は増加し、かつ互いに相関していました。更にCD8+T細胞の腫瘍に対する細胞障害性は上昇していました。一方、腫瘍内において腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数は優位に増加しましたが、腫瘍に対する細胞障害性はわずかに阻害されました。またTAMの数が増加し、その成熟が阻害され、ニトロチロシン(NT)の産生や、iNOSおよびアルギナーゼIの発現が増加したことから、TAMが骨髄由来のサプレッサー細胞のような免疫抑制機能を持っていることが示唆されました。

治療モデルにおけるIFN-γノックアウトは、NT産生を減少させ、マクロファージの成熟を誘導しました。したがってIFN-γ優位の条件でのTh1極性化はT細胞の抗腫瘍免疫応答を誘導しますが、同時にTAMの免疫抑制活性も増強してしまうということが分かりました。

【掲載情報】
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0008874921001568

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