大雄会第二医科学研究所

大雄会第二医科学研究所

大雄会第二医科学研究所は、遺伝子検査の導入にむけた専門機関として2002年に設立されました。
がんや感染症をはじめとした様々な疾患の早期発見や診断・治療に役立つ遺伝子検査の研究と技術開発を実施しています。

遺伝子の研究がより患者さまやご利用者さまに役立つものとなるためには、医療現場における実用化と普及が重要であるとの考えに基づいて、迅速で精度の高い検査技術の研究開発および導入に力を入れています。

これまでに確立した遺伝子検査法や技術の一部は、病院内の遺伝子検査室において実施され、実際の診療に活用されています。

大雄会第二医科学研究所

所在地 〒491-0113 一宮市浅井町西浅井弐軒家25番地
TEL 0586-53-3661

(1)病気になる仕組みが遺伝子やたんぱく質レベルで解明される、(2)病気の原因細菌やウィルスの遺伝子の解析により、新たな診断方法や薬剤の開発に役立つほか、より効果的な治療や薬剤の選択ができるようになります。

また、従来は体質とされていた事象のほとんどは、遺伝子の違いであることが、近年の多くの研究から明らかになりつつあります。遺伝子のメカニズムや遺伝子間の関連性などのさらなる解明と解析方法の実用化をめざしています。

研究イメージ01

  

  がん 生活習慣病 感染症
有用性や効果について

同名の疾患でも治療方法が区別できる


病気になる仕組みが遺伝子やタンパク質レベルで解明されることで、その原因物質を標的に新たな診断方法や治療薬(分子標的治療薬)が開発される。
また、一部の疾患において、従来は同じ診断名で包括的に呼称されていたものでも、分子レベルや遺伝子レベルでの違いから、さらに診断・治療上において有用な細分化が可能となる。

矢印画像

より有効な治療方法、投与薬剤の選択や投与方法など今以上の医療の個別化(オーダーメイド医療)が可能となる。
これにより無駄な投薬の防止や、より有効な薬剤投与などを適切に実施できるなどの利点をもたらす。



肥満になりやすい体質や病気のなりやすさなど、個人差を区別できる


従来、体質とされていた事象の多くは遺伝子が深く関与していることが明らかになってきている。
いくつかの体質に大きく影響をおよぼす遺伝子と加齢、生活習慣や環境要因などとの影響の結果が例えば肥満や高血圧などの生活習慣病をもたらす。

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従来の健康診断や各種指導などに遺伝子情報を組み込む、すなわ一人ひとりの病気のなりやすさなど個人差をふまえることや病気にならない生活習慣や食事などを心がけることで、 予防したり発症を遅らせたりすることが効果的に実施できる可能性がある。


病気の原因となる細菌やウィルスの遺伝子解析により感染の有無やより詳しい診断ができる


病気の原因となる細菌やウイルスの遺伝子を解析することで感染の有無、診断方法の確立や耐性菌に対する新規の抗生物質などのより速やかな開発が可能となる。

有用性や効果について

HER2遺伝子検査法の実施


一例として現在、一部の乳がんや胃がんの治療に有効であるハーセプチンという分子標的治療薬*が使用されています。
遺伝子検査室ではFISH法と呼ばれるこの治療薬投与の前提となるがん細胞における一定量以上のHER2遺伝子の増幅の有無に関する検査の対応が可能です。
また、がん細胞に含まれるHER2遺伝子のRNA量を測定し検査精度を向上させる方法を独自に検討し、実施しています。


*分子標的治療薬
体内の特定の分子を狙い撃ちしてその機能を抑えることにより病気を治療する治療法のための薬。

肥満関連遺伝子(β 3、β 2アドレナリン受容体遺伝子およびUCP1遺伝子)の解析方法の確立


倹約遺伝子と呼ばれる遺伝子のひとつにβ 3アドレナリン受容体遺伝子があります。
この遺伝子は人間の安静時代謝量に関連性があり、日本人の約1/3が肥満になりやすい遺伝子の型とされています。
今後、これらのメカニズムや遺伝子間における関連性などのさらなる解明の進展と実用化を見越して、比較的肥満との関連性が明らかになっているβ 2アドレナリン受容体遺伝子および UCP1遺伝子肥満関連遺伝子についてハイブリダイゼーションプローブ法による解析方法を確立しました。
これら遺伝子の検査はそれぞれの遺伝子の配列を調べます。従来の方法は長時間を要し、また、検査結果の正確性にも問題があることが指摘されていたのですが、 我々の方法はDNAを準備した後、約1時間で結果が得られます

遺伝子増幅方法PCRの確立


従来は微生物が増殖する一定条件下で培養し、数を増やすことで種類や性状などを調べる検査が主流でした。
しかし、遺伝子検査の進歩により、微生物の中に含まれる遺伝子をPCRという方法で増やして、この遺伝子を確認することで特定の微生物の存在を類推することができるようになりました。
特に結核菌などは人から人へ伝播することが問題となるのですが、喀痰などから直接、微生物の遺伝子を取り出し、迅速に検査するPCR法を遺伝子検査室で実施しており、診断・治療に活用されています。







●原著論文
Kikuchi A, Sawamura T, Kawase N, Kitajima Y, Yoshida T, Daimaru O, Nakakita T,Itoh S.
Utility of spermidine in PCR amplification of stool samples.
Biochem Genet. 48 (2010) 428-432

菊池有純、若山裕子、澤村卓宏、大圓修身、中北武男
糞便由来の核酸溶液におけるspermidine添加の有用性
医療法人大雄会病院誌. 18 (2010) 1-8

●学会
Kikuchi A, Sawamura T, Wakayama Y, Mushika Y, Kato T, Daimaru O, Nakakita T, Itoh S (2010)
Real-time quantitative RT-PCR for HER2 gene quantification for comparison with FISH analysis and for quality control.
11th International congress-Asian Society of Clinical Pathology and Laboratory Medicine 7th National congress-Indonesian Association of Clinical Pathologists. October 21-23, Jakarta, Indonesia

若山裕子、菊池有純、澤村卓宏、大圓修身、中北武男 (2010)
Hybridization Probe 法を用いたUCP-1遺伝子(A-3826G)の検出法
第59回日本医学検査学会 5.22-23, 神戸

若山裕子、菊池有純、澤村卓宏、大圓修身、中北武男 (2010)
核酸を用いた抗酸菌検査の現状と今後
第22回医療法人大雄会学会 11.14, 一宮



●原著論文
菊池有純、大圓修身 (2009)
ハイブリダイゼーションプローブ法を用いた一塩基多型の検出方法
医療法人大雄会病院誌 17 1-8

●総説
伊藤要子、菊池有子、菊池有純 (2009)
熱ショック蛋白(Heat shock protein:HSP 70およびHSP 60) =Heat shock protein: HSP 70 and HSP 60 (広範囲 血液・尿化学検査,免疫学的検査(第7版・1)その数値をどう読むか)
日本臨床 67(8) 322-25

●学会・研究会
Kikuchi A (2009)
Rapid Genotyping of Obesity Gene Variants Using real-time Fluorescent PCR and its Application in Medical Examinations. BIT Life Science 2nd Annual Congress and Expo of Molecular Diagnosis. October 20-23, Beijing, China

菊池有純、澤村卓宏、若山裕子、大圓修身、中北武男 (2009)
PCR反応におけるspermidine の有用性
第21回医療法人大雄会学会 11.8, 一宮



●学会・研究会
澤村卓宏、菊池有純、若山裕子、野田久嗣、川瀬直登、小川観人、喜多島康弘、吉田利明、 大圓修身、中北武男 (2008)
Anion binding resin, celluloseおよびpotato starchを用いた糞便DNA抽出法
第20回医療法人大雄会学会 11.8, 一宮

菊池有純 (2008)
健康・長寿と肥満・メタボ遺伝子
第二回 健康・長寿を支える食・薬・医の研究会 11.28, 名古屋



●原著論文
Kikuchi A, Kuramoto Y, Noritake N, Murase H, Daimaru O, Nakakita T, Itoh S.
Rapid genotyping of the Ser447Stop variant of the lipoprotein lipase gene using real-time fluorescent PCR.
Clin Chem Lab Med. 45(2007) 1075-1076

Kikuchi A, Kuramoto Y, Noritake N, Murase H, Daimaru O, Nakakita T, Itoh S.
Rapid genotyping using real-time fluorescent PCR of the Trp64Arg polymorphism of the beta3-adrenergic receptor gene and the -3826 A to G variant of the uncoupling protein-1 gene. Biochem Genet. 45(2007) 769-773

●学会・研究会
倉本裕子, 菊池有純, 高井重雄, 川瀬直登, 吉田利明, 大圓修身, 中北武男(2007)
赤痢アメーバの遺伝子タイピングにおけるAmpdirectの有用性について
第46回 中部医学検査学会 9.29-30, 大垣



風景01

DNAの抽出

細胞に含まれるDNAを抽出するには細胞膜を壊して取り出します。
DNAは自然界に存在する分解酵素の影響を受けやすいので作業はすべてクリーンベンチ内で実施します。

風景02

遠心操作

高速の遠心をすることでDNAを回収します。
1分間に約13000回転で沈殿させてその後の検査に使用します。

風景03

遺伝子増幅の準備

抽出したDNAをサーマルサイクラーと呼ばれる機械で増幅します。
増幅はPCRという方法でひとつのDNAは理論上2のn乗(n: 反応回数)に増幅します。

風景04

サーマルサイクラーへの装填

写真の機械は結核菌検査用のサーマルサイクラーです。
約2時間半後には結核菌遺伝子の有無が判別されます。

風景05

蛍光顕微鏡による遺伝子の観察

スライドガラス上の組織から遺伝子の状態を観察します。
蛍光という光を観察するため、作業時は暗室にして一つひとつの細胞の中の状態を確認します。

風景06

DNAの変性

スライドガラス上の組織に熱を加えてDNAの構造を変化させます。
特に反応時間や温度を厳守しなければならず、仕上がりに大きく影響する工程です。

風景07

遺伝子配列の解析

シークエンサーと呼ばれる機械で遺伝子の塩基配列を解析しているところです。
この機械では同時に4サンプルをおおよそ2時間半かけて500個ほどを解析できます。

風景08

DNA自動抽出機による抽出

一部の試料からのDNA抽出は機械による自動化を実施しています。
これにより一定の品質維持が可能であるとともに、使用する試薬類やチューブがバーコード管理されていることからヒューマンエラーの防止も期待できます。

遺伝子とは、核酸の一種のデオキシリボ核酸(DNA)の特定の一部分のことです。
DNA上には、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という4つの塩基がずらりと並んでいて、この配列順序が遺伝暗号として働いています。
たとえば、ヒトのDNAには約30億個の塩基配列が存在していますが、この配列の1塩基が変わっただけでも発がんや機能不全の原因となることがあります。
この遺伝暗号を読み解くことで、遺伝病や体質がわかったり、がんがわかったり、細菌やウイルスに感染しているかどうかがわかります。



遺伝子とは?

  

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